本記事の目的
本記事は、GADHAが提供するコミュニティに関心のある方に、
- GADHAにおける位置付け
- コミュニティの目的
- Slackコミュニティについて
- 当事者会について
- 参加費用
など、コミュニティに参加するかどうかを検討するために必要な情報を提供します。
位置付け
G.A.D.H.A.は、加害者の変容のために3つのことを提供しています。
当事者コミュニティでは、オンラインツールであるSlackによる交流や、オンラインでの当事者会を行っています。
同じ境遇の人が「加害者としての自覚」を持ち、変わっていき、愛のある関係を築けるようになる過程を見ることほど勇気づけられ、学びになることはないからです。
次に、学びの動機を持つことで初めて理論を学ぶことができます。私は「人は変われる」と信じています。100冊を超える参考文献を整理・再構成した加害者が変容するための理論を提供します。
しかし、それだけで人は簡単に変われません。実際の具体的なコミュニケーションの中で、その形式的な知識がうまく使えず、再び傷つけてしまう人も少なくありません。
そんな、当事者会では時間の関係で難しい、実際の加害行為を徹底的に振り返り学びに変え、再発を防止するのがトレーニングセッションです。
コミュニティの目的
DVやモラハラの情報を調べると、多くの場合は被害者目線の情報です。当たり前ですが、被害者の方が一刻も早く支援されるべきであることに議論の余地はありません。
一方で、どうしても加害者が自ら変容するための情報にはアクセスしづらいのが現状です。当事者会も、私が調べた範囲ではほとんど存在していません。
GADHAでは、加害者が変容するために最も重要な、以下の2つの意識を持てるコミュニティの必要性を感じています。これがなければ、変容を始めることはできません。
- 自分の加害性を認めること
- 変容可能性を信じること
それでは、この2つの意識を持つためには何が効果的でしょうか。
それは、自分と似た境遇の人が、
- 自身を加害者であることを認め、
- 変わっていく様を見ること
に他なりません。
GADHAの当事者コミュニティは、それが可能な場を目指します。
そのために、常時連絡を取り合うことができるSlackの運営と、当事者会イベントの開催を行っています。
Slackコミュニティについて
Slackは便利な無料チャットツールです。「相談部屋」「イベント告知」など多様なトピックごとに部屋を作り、会話をすることが可能です。
携帯からもパソコンからも使うことができ、Lineと違って複数の部屋を行き来しやすいことから、GADHAではslackを使っています。
Slackの基本的な使い方はこちらの記事からご覧ください。
自己紹介をして自分と近い境遇の人とコミュニケーションを取ったり、公開SNSなどでは書きづらい具体的な悩みを相談することができます。
これまでには、以下のような相談に対して複数の方からのコメントが得られています。
- 外面と家にいるときで自分が別人のようになってしまう……
- 衝動的に行動してしまってパートナーを困らせてしまう……
- パートナーの質問への回答が的外れで怒らせてしまう……
そんな悩みに「自分もそうです、自分はこうしています」と、真剣に受け止めあうコミュニケーションが起きています。
当事者会イベントに参加するのは気が引けるけれど、少しでも境遇が近い人と相談してみたいという方は、ぜひご参加ください。
当事者会イベント
GADHAは、オンラインのコミュニティに加えて、定期的なイベントを開催していきます。まず始めるのはオンラインでの当事者会です。
現在日程を調整中ですが、今後隔週か月に一度のペースで定期的に開催します。当事者会は、以下のような趣旨で行っています。
GADHAの当事者会の最大の特徴は「加害者として責任を引き受けることを前提とした場」であることです。
パートナーとのコミュニケーションのつまずきは、通常
「どっちもどっち(だから加害行為は免責される)」
「相手の言い方も悪い(から加害行為も仕方ない)」
といった話になることが少なくありません。
私たちは「加害の責任」を志向します。どんな理由があろうと「加害されて良い人」などこの世に存在しません。
私たちは加害をしています。私たちは、相手の落ち度ではなく自分の加害的な思考と行動に焦点を絞り、それを引き受け、改善したいと思う人たちの集まりです。
ASDであっても、虐待された経験があったとしても、関係ありません。私たちは変わることができると信じています。
参加者の感想=会の意義
当事者会に参加した人から、多くの感想をいただいています。ここでそれを共有し、その意義を私の言葉でもまとめます。
「自分と同じような悩みを持っている人と初めて会えた。自分だけじゃないんだということと、変われるかもしれないという可能性を感じられた」
「自分の加害行為については、話す機会が本当にない。それを共有すると共感を持って受け止めてもらえて、同時に傷の舐め合いにならずに改善に向かおうとする雰囲気が良かった」
「正直自分のやっていることが加害なのか、自分も被害者だという感覚が拭えないまま参加したけれど、自分の加害者としての要素と向き合う覚悟ができた、辛いけれど、頑張りたい」
上記のように、まさに当事者会に求めていた機能を果たすことができています。当事者会を開催して改めて価値を感じたことは「パートナーとのことを真剣に話せる場」の意義です。
うまくいっているならまだしも、うまくいっていない夫婦関係・パートナー関係を人に話せる人は多くないと思います。
よしんば話せたとしても
- どうも奥さんがヒステリーでさと冗談めかしたり、
- 叱ってやったよなどと自分の優位をほのめかそうとしたり、
- 「お前は悪くないよ」と慰められようとしたりして自分の加害を隠したり
するのが精々ではないでしょうか。しかし実際にはそのヒステリーは被害の末の悲鳴であり、叱ったのは加害であり、もしそれを詳細に語れば慰められるとは限らないような加害行為です。
ここでは茶化すことも茶化されることもなく、外では話す相手がいない「愛や配慮、ケアのパートナーシップについての悩み」を真剣に話せます。
別居や離婚の苦しみも、多くの人は共有できないか、共有しても慰められてしまい、自分の問題点にはいつまでも気づけません。
ここは、適当に慰めるのでも話を聞くのでもなく「加害者としてのあなたがどう変われるか」に焦点を絞って話すことのできる場所です。
参加条件
私たちの唯一にして最重要となる共通点は「もう大切な人を傷つけたくない」と願う気持ちです。この気持ちがない方は、コミュニティを退出いただく可能性があります。
また、本名で使っていただいても構いませんが、コミュニティは完全匿名ok、顔出しは不要です。特に個人が特定されるような情報は、外部には発信しないようにしてください。
参加費用
2021年7月11日現在は、Slackコミュニティと当事者会の参加は全て無料です。
ただし、完全ボランタリーな形では持続可能性が低く、活動も停止してしまう可能性があります。そのため、今後は運用を変更する可能性があります。
企業研修によるマネタイズ、有償プログラムによるマネタイズ、寄付制など様々な形があり、上記もあくまで構想ではありますが、可能性がある旨については念のためここに記述しておきます。
それにより、独自ドメインの取得、サイト運用・更新、イラストや漫画・動画といったアクセスしやすいようなコンテンツの多角化、研究活動、広報活動、被害者支援などが可能になる見込みです。
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終わりに
G.A.D.H.A(Gathering Against Doing Harm Again:ガドハ)は、大切にしたいはずのパートナーや仲間を傷つけたり、苦しめたりしてしまう「悪意のない加害者」が、人との関わりを学習するためのコミュニティサービスです。
当事者コミュニティとイベントの運営、加害者変容理論の発信、トレーニングなどを行い、大切な人のために変わりたいと願う「悪意のない加害者」に変容のきっかけを提供し、ケアのある社会の実現を目的としています。
当事者コミュニティやトレーニングに関するお問い合わせはこちらから。