概要
GADHAは、加害者変容プログラムを実施しています。
GADHA変容プログラム初級レポート#03 では、そのホームワーク&ケーススタディとして手紙を書いてきてもらいました。
その手紙は「被害者であるパートナーの目線に立って、あなたに対して書かれた手紙」です。相手の気持ちに立ち、相手の言葉で、相手の言い回しで、自分への手紙を書くと言うものです。
自分の加害行為が、どれほどの被害をもたらしたのか。自分はどんな責任を負っているのか。それを真剣に考えるためには、被害者の気持ちに立つことが極めて重要です。
加害者変容プログラムに関心のある方はこちらの記事をご覧ください。
本文
あなたへ
過去にLINEや口頭で伝えてきたことを含め、あなたのDVにより私がどのような気持だったか手紙にします。
当時長年付き合っていた彼氏がいた私ですが、あなたからの口車に乗せられる形で、交際をスタートしましたが、思えばあなたの家庭環境などは余り詳しく聞かずに交際に踏み切った部分がありました。
友達としてあなたの恋愛相談など含めて長く接してきたつもりでしたが、あなたの本性が見えていなかったと後悔しています。
交際を開始する際に、当時の彼氏と別れるべきか悩み、私を幸せにしてくれるのか不安な気持ちがありましたが、結婚する気で交際するのか?と確認した際に、あなたの押しの強さを自信や約束とはき違え、誤った選択をしてしまったと後悔しています。
今思い返せば、入籍時期や同居時期の考え方のすれ違いにより、あなたがすぐに怒り、人に攻撃的な姿を見せることは気づいていましたが、まさか自分にその矛先が向けられるとは夢にも思っていませんでした。
結婚後、料理/掃除の仕方や家事の分担などで、何度も揉め回数を重ねるごとに、「そんなのも知らないのは頭が悪い」「バカ」、喧嘩が激しくなると「死ね」など不機嫌さを出すだけではなく、暴言を吐き、人並みの幸せな結婚生活を夢見ていただけなのに、人格否定など本当に愛しているのであれば言わないようなことを平気で言われ、あなたのことが信じられない状態に陥りました。
あなたが何に怒るのか、基準が日によって曖昧で本当に宇宙人と向き合っている気分です。気分屋で自分を正当化するようなことを言っているけど、DVをしたら何も正当化されない。
どうすれば喧嘩にならないか、周りにも相談できず家に帰るのも嫌で毎日泣いていましたが、泣く姿を見せると、「どうして泣くのか」「なぜ昨日の喧嘩を引きずるのか」と責められるためどこにも自分の居場所がありませんでした。
親に相談したくても親の気持ちを考えると相談できず、喧嘩の最中にたまらず親に電話すると「話を大事にしやがってと」あなたも怒り、逃げ場がなく死んでしまいたいと考えるようになりました。
何度も話合い、誓約書を交わしたり、カウンセリングなども行ったりしましたが、離婚の話を出す度に「変わるから」とあなたの3日坊主の宣言を何度も信用しようと努めましたが大きな改善が得られず毎日が恐怖と苦痛で地獄のような日々でした。
子供を授かるタイミングで、これで少しは前進すると思っていましたが、PTSDのように喧嘩をしていなくても突然、死にたくなる気持ちが襲ってきた際に、「なぜ過去のことをずっと引きずるのか」「気持ちの切り替えをしなければ一生そのままじゃん」などあなたのせいで、こんな私にしたにも関わらずなんとも無責任な発言にさらに傷つきました。
私の人生を本当に返して欲しい。私はあなたのDVを受けるサンドバックになるために生まれてきたわけではない。
なぜあの時、あなたと交際する選択をしたのか、なぜ立ち止まらなかったのか自分の選択ミスが悔やんで仕方ありません。
フラッシュバックが起こった際や、理不尽な態度に関して私の意見を言えない時には、子供がいる今でも、私よりまともな親の元で育った方が子供にとっても幸せだし、私が楽になるためにも死んでしまいたいと思う。
あなたが、理不尽な行動をとって、それの講義をしたいのに、怒らないようにしているのか、向き合おうとしないのはおかしい。こんな私にしたのは、あなたなんだから話し合いにはちゃんと応じて向き合って欲しい。
最近の不安は、家庭の不和が子供に悪影響を与えてしまわないかです。
GADHAのことを伝えたのも、せめて子供たちだけでも幸せな家庭や人間になれるようにしてあげたいので、粗暴な言葉遣いをしないことや、親の喧嘩を子供に見せないようにして欲しい。
心の傷は癒えることが無いです。心の傷は癒えない上で、どのようにあなたが私に向き合うか、傷があることを忘れられるように(=傷を意識しない)生活できるかを考えて欲しい。
GADHAのプラグラムを通してASD傾向がある話がでたのであれば、子供への遺伝の可能性も考慮して、早めにちゃんとした診断を受けて欲しいし、一緒にカウセリングに行こうよ。
宇宙人ではなく、早く人間になれるように逃げずに過去と向き合い、配慮できる関係の構築や、マイナスをゼロにできるようにGADHAの4つの責任を継続して実施して欲しい。
あなたはゼロにする気なのかも知れないけど、もしかしたら、ゼロにできないかも知れないんだから 。
終わりに
G.A.D.H.A(Gathering Against Doing Harm Again:ガドハ)は、大切にしたいはずのパートナーや仲間を傷つけたり、苦しめたりしてしまう「悪意のない加害者」が、人との関わりを学習するためのコミュニティサービスです。
当事者コミュニティの運営、加害者変容理論の発信、トレーニングなどを行い、大切な人のために変わりたいと願う「悪意のない加害者」に変容のきっかけを提供し、ケアのある社会の実現を目的としています。
関連記事