加害者は明るい未来のために努力すべきではないのでしょうか?

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はじめに

本記事は、「変わりたい」と願う加害者の集まるGADHAのslackで交わされた3万通もののメッセージや、プログラム参加者によるGADHA理論への質問と回答をベースに作られた「よくある質問と回答」になります。

 

よくある質問

自分の加害性を認識し、これまでの行いを強く悔いています。そのため「幸福になること」に負い目を感じてしまいます。加害者は明るい未来のために努力すべきではないのでしょうか?

 

回答

誰かを傷つけた人が、楽しい時間を過ごしても良いのだろうか…という悩みは、加害者と自認して変わろうとする人が必ず直面する難問です。それに答えるためには、贖罪をどう捉えるかがポイントです。

GADHAでは贖罪を「自他共に、持続可能な形で、美徳を発揮して、ケアしあえる関係を生きること」だと考えます。他者を慈しむことを自ら始める。持続的に慈しみあえる関係を生き、そうでない関係はやめる。自分を労り、慈しむことを自ら始める余力を作る。その繰り返しの中で、ケアしあえる関係を社会に増やしていくことこそが、加害者変容であり、償いであり、贖罪であり、幸福なのだと考えています。つまり、誰もが幸福を目指しても良く、下を向き、不幸に、日陰を生きることではありません。

それでも現実は厳しく、時に理不尽なことも起きます。そんな現実を受け入れ、今自分ができることに専念する。また、「関係の修復」や、「許してもらう」という結果のために頑張らなくても良いです。簡単には変わらないことを最初から分かった上で、それでも賭けに出続けることを選ぶのが加害者変容であり、賭けそのものがケアの行動であれば、結果を問わず取り組む価値があります。他にも、情動調律の苦しさもあります。他の人の気持ちに寄り添うのは簡単ではなく、気を抜けば加害的な行動に逆戻りしてしまうのが普通です。それが自然にできるようになるまで続けるのが変容であり、私たちはそれを目指しています。

 

おわりに

本記事は、あくまで「形式的な」知識です。実際に使ってみて、間違っていたら学び直すためには、GADHAのコミュニティ(無料)やイベント(無料)、プログラム(有料)に参加することを推奨します。ぜひこちらの「GADHAの活動」ページをご覧ください。「よくある質問と回答」コンテンツは一部の公開のみを行っていますが、マンスリーサポーター(MS)の方は全てにアクセスすることが可能です。また、MSの方が増えるほど、無償で公開する範囲を増やすことができます。コンテンツに関心のある方や、GADHAを応援してくださる方は、ぜひMS制度の詳細をご覧ください。

 

Key words: 加害者の幸福, 情動調律を続けることの息苦しさ