記事の目的と構成
昨晩、twitterであるアイデアを投稿した結果、多くの方々から非難を受けました。
最初は「非難されている意図でのアイデアではないのだけれど…」と動揺していました。
しかし、よくよく非難に触れているうちに、自分の単に意図のレベルでは済まない問題を自覚しました。
本記事では
・起きたこと
・最初の応答
・問題の本質と反省
についてまとめます。
起きたこと
ことの発端は、僕が昨夜ツイートした、以下の内容でした。
「作りたいマッチングアプリがあります。それは、モラハラやDV加害を受けたことのある人と、愛や配慮について学び、人を支配しない関わりを学んだ人とが、マッチングから、その後のパートナーシップの相談まで行えるアプリ。ケアと信頼の関係を作りたいと心から思っている人たちのアプリ。」
「参加するために一定のテストを受けてもらい、重要な概念やキーワードをお互いがわかっている関係。どちらかが加害的・暴力的な関係だと感じた時に、指摘して反省して改善していける関係。夢物語かもしれないけれど、パートナーシップに絶望した人が、新たな関係を作っていける場を作れないものかなあ」
このツイートに対して、リプライや引用ツイートの形で多くの非難を受けました。
1.被害者の集まりを作るのは暴力の再生産を産む
2.なぜ被害者が利用されなければならないのか
大きく2つの種類の非難がありました。いくつか抜粋します。
1.被害者の集まりを作るのは暴力の再生産を産む
「この構想には反対です。加害を受けやすい人の集合体を作ることは、多くの悲劇を再生産しかねないと思います。」
「加害を受けたことがある人を対象にするのは絶対にやめてほしいです。支配されやすい傾向を否定できないからです。」
2.なぜ被害者が利用されなければならないのか
「加害者の更生とやり直しに配慮しているのかもしれませんが、一度被害者になった人を対象にするのは悪手です。被害者にとって2度目はありません。本当に心が壊れてしまいます。」
「すでに被害で大きく傷ついているのに、どうしてケアの役割まで求められなければいけないのでしょう。 過去の傷は、容易に開くのですよ。」
最初の応答
1.被害者の集まりを作るのは暴力の再生産を産むについて、これは僕の想像力が全く及んでいませんでした。
デートDVやモラハラ、アサーティブコミュニケーションといった言葉も少しずつ浸透してきた中で、そういう知識や意識を持っていることを前提としたサービスがあればいいなと思っていたのです。
しかし、悪意を持った利用者が支配を目的として利用することも想定され、非常に危険なことだとわかりました。
2.なぜ被害者が利用されなければならないのかについて、最初は誤解を受けたと感じました。
というのも、僕は加害者のリハビリや更生といった目的を全く想定していなかったのです。
「愛や配慮について学び、人を支配しない関わりを学んだ人」というのは、更生しようとする加害者ではなく、広く性教育やジェンダー、愛と責任を学んだあらゆる人を想定していたからです。
お互いがこういう知識を持っていれば、暴力に支配された関係ではなく、問題があれば率直に話し合える関係になりうる可能性を持った場になるのではないか。
そういうつもりでした。しかし、加害者として学んでいる段階の僕が発信する限り、非難された意図を読み取られることは当然です。
実際に被害を受けた、あるいは現在進行形で受けている方々にとって、恐ろしく信じられないようなアイデアだったはずです。申し訳ありませんでした。
問題の本質と反省
以上のような経緯が昨晩ありました。しかし、1日経ってさらに考えているうちに、自分がより本質的な問題を抱えていることに気づきました。
それは「DV加害者向けの何かに取り組む人間の責任」として、最も重要なことを見落としているということでした。
その責任とは、被害者が「わたしたちのためである」と思えるような活動をする責任です。
加害者の更生はその最大の目的ではなく、あくまで手段であること。
加害者の人格を尊重しながらも、あくまで被害者を減らし、この社会の暴力を減らすことが目的であること。
単に僕の中でそう思っているだけでなく、取り組みや、使う言葉の中で、それがきちんと伝わるように配慮する責任を持っているということです。
この責任を十分に果たさずに「ああ、誤解されてしまった」などと最初に反応してしまったことを、反省し、お詫び申し上げます。
このような活動をしていくにあたって、本当に重要なことに気づけました。 ご指摘をいただいた皆さん、本当にありがとうございます。
また、応援したり、優しく声をかけてくださった方々もありがとうございます。深く反省します。
引き続き、GADHAは大切な人のために変わりたいと願う「悪意のない加害者」に変容のきっかけを提供し、ケアのある社会の実現を目的として活動してまいります。